飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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日々雑感17 : 「日教組集会拒否問題」

 「毎日新聞」(2009/7/28)に、日教組集会拒否で、東京地裁が、プリンスホテルに賠償を命じたとの報道と解説記事があるのを読んだ。
 この問題にかかわって、切り抜いたものを読み返す。

※ この問題が起きた時、「朝日新聞」(2008.1.14)の[教研集会拒否「村社会文化の横行を映す」]という東京工業大学(社会学)橋爪大三郎氏の評論を読んで、問題の整理に感心した。
 その一つは、裁判所の決定を法律論で、契約の考えから支持していた。そして、脅迫の事実があるのなら、それはホテルの責任ではないが、脅迫の事実を明らかにする責任がホテルにあるともした。
 そこに、憲法論の一般的な解釈としての正当性についても述べているが、イデオロギーが絡んでいるので、純粋な正当性の評価に説得に威力がなくならないようにここでは省略する。
 説得力を感じたのは、ホテルマンの道義としてというところだ。これは、説得力があった。氏は次のように言う。
 ホテルマンの道義にもがっかりだ。いったん約束したら、体を張ってでも客を守るのがホテルの責任のはず。「周囲や他の客の迷惑」よりも、日教組の利益を考えるべきだろう。見ず知らずの客との契約を絶対とすべきホテルが、近所の迷惑とか言い始める江戸時代の発想では困るのだ。
(中略)
 契約した以上、名誉にかけても全国集会を実現します、だったらこのホテルの株もあがっただろうに。

 同時に、被害者の日教組についても注文をつけている。
 ひと回り小さくてもいいから体育館か倉庫を借りる手配をし、新宿や渋谷の駅前で「署名とカンパをお願いします」と訴えれば応じる市民もいたはずだ。開催が危ぶまれた日教組の集会が市民の力で実現できたとなれば、押しかけにくくなる。柔軟な危機管理能力と市民とともに歩む姿勢がもっとあってもよかった。教育者としては少々心もとない。
 常識で考えられない事件が増えている。組織に安住して、自分の頭でものを考えられなくなっているのではないかとしている。

※ 「朝日新聞」(2008.2.27)には、「プリンスホテルのトップら会見」という記事があった。記事としては小さな扱いだった。
 記事によると、「客の安全」を繰り返し、日教組への謝罪はなかったということのようだった。
 後藤社長は、「憲法論議をするつもりはない。ホテル業としての安心安全を考えることも道義的責任と考える」と説明したとのことだ。

 しかし、その主張に正当性は感じなかった。
 憲法問題という言は、政治的な問題にしてほしくないとの歯止めの意味だろう。その次だ。
 ホテル業としての安心安全の範疇には、客の安心安全も含まれなければならないはずだというところだ。
 日教組も契約をした客である。日教組という客の安全のため、外敵にホテルの威信にかけて守るべき立場であったはずだと思った。

 経営陣の頭にちらついたのは、ホテル業としてのプライドではなく、経費ではなかったかと感じた。  安泰に集会を開くためのホテル側の防衛のための支出を計算し、その支出を抑えると、他の客からの苦情が怖い。そこに損益がでるとの判断だったのではないかと感じたのだ。

 そういう意味では、新聞社も大差ないと感じた。
 コメント者として準備したのが、リスクコンサルタントという立場の浦嶋繁樹氏だからだ。
 「ブランド価値さらに損なう」という観点から、司法の判断に従わなかったことについて謝罪すべきだったとしている。その上で、ホテル業としての判断について以下のようにコメントした。
 社会を無視する企業ということで、彼等が第1に考えたというお客様から、信頼を失うことになるのではないか。トップがそうした振る舞いをするのでは、個々の社員のモラルも疑われるだろう。ブランド価値をさらに大きく損なったと思う。

 確かに、意見全体としては正当性を感じたが、リスクコンサルタントの立場である事に違和感があったのだ。
 その意見の前提には、経済的利益がある。長い目で見ると損益ですよというアドバイスでしかない。例え損益だったとしても、客としての日教組の安全を守るべきだったと踏み込んでいない。青臭くても、ホテル業の理念として説くべきだと思った。

※ プリンスホテルは、老舗なのだろうか。
 「長寿企業は日本にあり」(野村進)を読んで、その視点から基本姿勢を分析してみた。
 老舗は、収支よりも大切にする次の三点の基本姿勢を持っているという。
 〇 「不義にして富まず」・「三方良し」・「本業」を忘れない。
 ここから得られる力は、信頼という強力な力だとする。

 日教組集会にかかわって、この一流ホテルのこの視点からの考察は心もとないと感じた。
 三方良しの調整・社会的正義を実直に守る姿勢・誰にも引けを取らないというプライドいずれも一流の老舗のホテルのプライドはなかったということだ。

 今回の地方裁判所の判断には、ホテルの債務不履行と仮処分に従わなかったということがその理由になったようだが、大きかったのは、仮処分に従わなかったことのようだ。
 これによって、社長等4人は宿泊させる義務違反(旅館業法)容疑で書類送検され、今回民事での責任追及となったということだ。

 今回、日教組は集会が開けなかった。初期に提案のあった署名とカンパをお願いして開催するという方法もあったとは思う。
 しかし、今回の日教組の判断のようにしくしくと法に訴えていくことで、法は自由名集会を保証するという重さを導きだしたということであり、その意義は大きかったように感じる。集会・言論の自由という民主主義の基本が成熟した社会になる方向性をめざす運動としては、素晴らしい成果を挙げたと思う。
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テーマ:生活の中で - ジャンル:ライフ

  1. 2009/07/30(木) 14:51:56|
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Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
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 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

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