飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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福島の子規2-7

 桑折の葛の松原について、「はて知らずの記」では、古歌に世の中の人にはくずの松原といはるゝ身こそうれしかりけれと詠まれている所だとだけ紹介する。
 しかし、その古歌を読んだのは、權上僧都覚英という方で、後二条殿の御子だった方だといわれている。世を窃かに逃れて、諸国流浪の末に終りをこの地葛の松原を仏法有縁の地と定めて、保元2年(1157年)2月に入寂したという。
 しかも、偶然この地を通った西行上人によって、亡くなった後に発見されたといわれている。西行上人とこの方のかかわりは、藤原一族の学問所である勧学院で共に学んだ間柄だったという。
 文学に疎いのでまだ確かめていないが、西行法師の説話集「撰集抄」第九巻末には、この方を南都覚英僧都事として記されているとのことだ。歌詠みの方には当たり前のことなので記さないのかも知れない。
      葛の松原碑

 凡人の私達が、その事を知ることができるのは、松原寺に建立される葛の松原碑による。この「葛の松原碑」は、明和5年(1768)に、当時江戸にいた福島藩主の重臣だった河原栄機がこのことを知り、国元のこの旧蹟が風化するのを憂いて建てられたものという。
 碑文には、覚英の徳操を讃えて、次の歌が刻されているという。
 

世の中の人には葛の松原と呼ばるる名杜嬉しかりけれ
 なき跡も名こそ朽せね世々かけて忍ぶむかしの葛の松原


 芭蕉がここを通ったのは、この碑が建立される80年前とのことではあるが、このことを知らないはずもない。芭蕉は「撰集抄」を通して、この碑に登場する覚英の歌を愛し乞食の覚悟に共感していたとのことだ。
 それなのに、「奥の細道」では、ここについてふれることなく通り過ぎている。

 文学に疎いせいかもしれないが、芭蕉の奥の細道の旅は、歌枕を訪ねる旅と聞くし、野垂れ死にすることも覚悟しての旅とも聞いている。覚英僧都は、実際に名も知られず、この地を仏法有縁の地と定めて入寂したというのだ。芭蕉が求めた旅の原型の姿のはずだ。それなのに、葛の松原をすたすたと通り過ぎる心意気が分からないのだ。
 本当は、芭蕉の旅は、さらりと通り過ぎる旅でしかなかったと解釈もできる。先人のように、何度も訪れたりするわけでも、本当に野垂れ死にを覚悟した旅でもないとみたら失礼な話なのだろうか。

 子規はここで立ち止まったのだ。
 そして、「はて知らずの記」では、くどくどと語らずにさりげなく「中の茶屋」で休んだことだけを記しているということだ。
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テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/09/23(木) 10:07:30|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
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葛の松原

これは、松原寺にある葛の松原碑だ。  今はこのあたりの景色にその面影はないが、ここも「葛の松原」という歌枕でもあるとのことだ。  この碑は、松原寺という寺の中にある。案内板にいう「松原寺自明上人と相諮り覚英の徳操を讃え明和5年(1768)2月17日栄機...
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  2. 風の人:シンの独り言(大人の総合学習的な生活の試み)

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Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

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