飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

福島の子規2-11

 子規が宿泊したという前庭に山吹が咲く宿は、いろいろな説があって定かではないが、鯖湖湯近くの湯町の旅館ではないかと思っている。
 少なくとも、子規は建てかえたばかりの鯖湖湯につかっている。明治15年創業の「ほりえや」の木造3階建ての建物、その向かいの「なかむらや」になったばかりの漆喰の3階建ての旅館も、きれいにされたところだろうか。ある意味、今見ているような新しく街並みをつくり替えたばかりという感じの風景だったのではないのだろうか。

岩代国飯阪温泉三句
 夕立の下に迷ふや温泉の煙
 夕立や人声こもる温泉の烟
 夕立や人声おこる温泉の烟


 現在、新しい鯖湖湯には、「夕立や人声こもる温泉の烟」が、与謝野晶子の句と一緒に、子規の句碑として建てられている。
         子規と与謝野晶子歌碑
 子規は、飯坂に着いた次の26日の朝に小雨の中十綱橋まで散歩している。
 旅宿を出て街中を2.3町下ると数十丈の下を流れる川があり、それが摺上川というと紹介する。
ここから、子規の泊まった旅館を想像すると、摺上川から2~3町離れているということだ。湯町の旅館に泊まったとすれば、しっくりいく描写だ。
 子規は、十綱橋について次ように説明する。
 昔は綱を掛けて人を渡していて、籠の渡しのようだった。古い歌にも、
みちのくのとつなの橋にくる綱のたえずも人にいひわたるかな
おのづからくると見しまにみちのくのとつなの橋の中はたえにき
などと詠まれていたが、今は鉄のつり橋を渡して行き来することが便利になった。
        十綱橋

 確かに以前の橋は、趣があったかもしれないが、文明開化のおかげで、技術を駆使してこの立派な橋が完成したのであって、それを、昔の橋は風情があったとかと勝手なことを言ってはいけない。旅人にとってはありがたいことだと付け加える。

 つり橋に乱れて涼し雨のあし

 「十綱橋」と共に、子規が関心を寄せた湯野側の景色は、勢いよく流れ落ちる滝のようだ。
 「向かい側の絶壁によりそって、三層楼が立ち並ぶ間から、一條の飛爆玉を噴て走り落ちるのも珍しくいい景色だ」と、湯野側の景色を描写する。飯坂側からの視点だ。これも、湯町への宿泊をイメージする理由だ。

 涼しさや瀧ほどばしる家のあひ

 その「三層楼が立ち並ぶ間から、一條の飛爆玉を噴て走り落ちる」のは、西根堰の調整水路から摺上川に側に水量調整のために排水された水だろうと思われる。子規が訪れる7年前の明治19年に、西根堰まで道が拡張されている。その道と十綱橋は同じ高さで、その高さから、この水が摺上川に流れ落ちる滝の風景が見事なものと見えたのだろう。

 今もこの調整水路から流れ落ちる滝はあるのだが、旅館の影になってよく見えない。この滝を隠すような建物も少なく、場所も今の切り湯のあたりだったのではないかと想像する。
 子規から2年程時代が経ってここを訪れた鏡花も、この湯野側の「藤の花なる滝」に感嘆している。文人が、共通に感じる風景なのか、それとも、鏡花が子規の影響を受けているのかは、分からない。
スポンサーサイト

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/09/28(火) 09:20:21|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<福島の子規2-12 | ホーム | 福島の子規2-10>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://shin485.blog10.fc2.com/tb.php/134-a4d2c61b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

タグそして検索

プロフィール

親馬シン

Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

最新記事

カテゴリ

2014年10月15日までの発信内容 (10)
庭に集まる虫 (1)
花壇の花々 (2)
話題考2014-9 (6)
2014年9月15日までの目次 (3)
【会津へ向かう途中の風景から】 (1)
福島のイベント情報 (1)
2010年までの目次 (166)
○ 夜の長い街にて(フィクション)  (30)
○ 福島の子規(ノンフィクション) (52)
話題考 (49)
日々雑感 (28)
小さな目と小さな声 (6)
日々雑感2014 (1)
2014 (1)
2014年11月15日までの発信 (0)

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。