飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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「福島の賑わいの変遷」:福島の子規2-22

 福島県下は昔から蚕飼ひする者が多く、活況を呈していたが、この頃はこの養蚕業に世渡りのたつきを求める家もなく、福島町のように確実に富み榮えると世に聞えているにも似ずに、戸数は僅に四千しかない。また、ここは県下において、大道坦々この町のように旅人が、あの町この町と通う旅人や商人はその恩恵に浴していて、世の打ちさわぎたるもはや一昔前の話だ。
 これを、「見下ろせば月に涼しや四千軒」とかかわらせて、松山に比べてみたという捉え方があることを最近知った。しかし、子規が福島の街を具体的に描写するのは、福島宿から文知摺観音へ出立する時だ。この句は、前日に信夫山で目前に見ている景色だ。
 素直に福島の状況として捉えていると見たい。

 「ここ福島では、江戸の昔から養蚕で生計を立てるものが多かったし、この養蚕業は、全国的にも名を馳せた産業だった。福島町は古くから富栄えていたのだが、その割には戸数は僅かに4000しかない」と驚いているようだと捉えたい。

 ここ福島は、明治の終わりごろまで、仙台をしのいで東北でもつとも商業の盛んな町だったらしい。子規が訪れた時期は、そういう時期であり、子規が捉えたようにその中心は養蚕だ。当時、福島には共同生糸荷造所・共立荷造所および熨斗糸荷造所があって、福島近郊は勿論、各地から生糸を集めていた。海外にも輸出していたという状況だ。
小倉邸展示日銀

 この多数の蚕物商の存在で、多額の生糸取引資金が動いたことで、明治32年(1899)には、東北で最初に日本銀行出張所が設けられるという状況になる。
 その割に、こじんまりとしていたらしい。
 それは、その製糸が家内工業である座繰り製糸が発達していて、機会製糸への切り替えるのが遅れていたということだ。このこととかかわるようだ。
 家内工業的に製糸するシステムが確立されていたことで、かえって近代化のシステムの改変が遅れたと見ることもできる。
 それでも、根底に地場産業として、この地の養蚕は、江戸時代から地道にその業は続いていたという強みがあったということだ。
 古くは、安永年間の「奥州蚕種本場銘」獲得により、奥州種は、国中の種販売を支配した程の盛況を得たという華やかな経緯がある。
 途中、蚕種専業の本場の村と養蚕して蚕種とり製糸する村に専業化していったり、半種紙と称するダンピングするなどでいろいろな変節はみる。
 そんな経緯の中、文化年間には、生糸は、天王市で三井を中心に江戸の商人や京都への登り糸も多く。信夫郡内では、絹織物を生産し、福島では龍紋と称している。
 これらに、藩がかかわり、その取引の中で、豪農が生まれるという状況の中で、開港に伴う変動を受け、改変を繰り返すという波乱な動きの中、幕末を迎えるということだ。
 それが、明治になって生糸改会社に変身していく途中の姿が、子規の見た福島の町だったという事ではないのだろうか。

 福島羽二重が、現盲ろう学校の所に、玉糸改良が清明町に工場ができて、だんだん大きな工場が増え始め、その形が完成するのは明治40年(1907)になってからのようだ。本格的に機械製糸工場になるのは、第一次世界大戦後らしい。
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テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/10/11(月) 09:28:01|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
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 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
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