飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「福島の賑わいの変遷②」:福島の子規2-23

 子規が福島を概観するのは、福島宿から文知摺経由で飯坂に向かう時だ。福島の町を直接眼にしたのは、汽車で福島駅に着いた時の駅前の景色であり、宿に向かう時の街並みであり、その夕暮れに信夫山まで散歩した時である。
 福島駅前は、かなりの賑わいであったようだ。
 当時の新聞記事の中に荷車と人力車の数をみつけた。明治25年12月時点ということで、子規が来福する半年前だが、人力車は1918両で、荷車13822両ということだ。
 ただ、『はてしらずの記』で近代化の象徴的な風景とした「鉄道の線は地皮を縫い、電信の網は空中に張るの今日」という点では、福島はやや遅れ気味だろうか。電灯は、明治28年9月営業開始であり、常夜灯は、明治30年という事になる。電話開通は、明治40年だ。
 子規が駅前に見た景色に、「電信の網は空中に張る」という近代化の象徴である電信柱と電線はまだ及んではいなかったという事だ。その分、近代化が少し遅れていたと感じたかもしれない。それでも、めまぐるしく変わろうとする町の雰囲気を捉えたのではないかとも思う。当時の福島は、近代化の波と、大火からの復興という二つの大変化が重なって起きているのだ。
 大火からの復興というのは、明治14年に福島宿の南端の信夫橋のふもとにあった銭湯から出火した火が、福島宿の中心地まで延焼して、そのほとんどを焼き尽くすという大火があったのだ。明治20年頃には、昔の賑わいまで戻ったという事なのだ。たった6年で、元に戻ったというのは、その復興のスピードがいかに速かったかが伺える。恐らく、その立ち直りの勢いは止まらずに、一気に町は改変していったと思われる。
 そこに、福島に県庁が置かれ、道路や建物に力を入れる県令三島通庸というが赴任したことは、近代化の波という点からみれば、大きなうねりだったと思われる。有名な万世大道は完成しているし、街中でも国道四号線の改良をはじめ、町中の道路整備も急ピッチで進められているようだ。
 公的な建物を中心に近代化が進んでいる。福島師範も、明治21年9月には竣工し、本校舎は当時東北一の近代校舎とうたわれ、翌22年のパリ万国博覧会に写真で出品されている。
 いい方はよくないかもしれないが、甚兵衛大火で更地になってしまった街中を、これをチャンスとして道路整備が行われたようだ。たとえば、城下町特有の卍の道路も、一気にカーブに改修も進んでいる。一度走り出したら、それらが関連しあって発展のサイクルに入る。明治時代のそういう発展は、福島市も変わらないようだ。
 子規がやってきた鉄道も、その敷設によって工業の発展がもたらされたということの他に、鉄道の開通に伴って、工業を起すという側面もあった。
 明治25年には、奥羽線が開通し、この敷設に伴う煉瓦と土管の製造のために、煉瓦工場が設置され、これがまた、福島の建築の近代化を増長するといった塩梅だ。
 子規は、その近代化に向かう途中の福島をみたということだ。決して、片田舎の静的な福島をみたのではなさそうだということだ。
 そして、先に記したこの地には、基盤の産業として養蚕の中心地であったということがある。
 子規は、福島駅前に立った時、心には芭蕉を忠実に歩いてみたいという思いを心に刻み、これらの情景を感覚的に嗅ぎ取ったはずだと思うのだ。
スポンサーサイト

テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/10/12(火) 09:36:48|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
<<「子規を迎えた福島の識者」:福島の子規2-24 | ホーム | 「福島の賑わいの変遷」:福島の子規2-22>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://shin485.blog10.fc2.com/tb.php/145-2f027498
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コウちゃんの走る日記

コウちゃんの走る日記
  1. 2010/10/12(火) 17:35:34 |
  2. コウちゃんの走る日記

タグそして検索

プロフィール

親馬シン

Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

最新記事

カテゴリ

2014年10月15日までの発信内容 (10)
庭に集まる虫 (1)
花壇の花々 (2)
話題考2014-9 (6)
2014年9月15日までの目次 (3)
【会津へ向かう途中の風景から】 (1)
福島のイベント情報 (1)
2010年までの目次 (166)
○ 夜の長い街にて(フィクション)  (30)
○ 福島の子規(ノンフィクション) (52)
話題考 (49)
日々雑感 (28)
小さな目と小さな声 (6)
日々雑感2014 (1)
2014 (1)
2014年11月15日までの発信 (0)

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。