飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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「芭蕉翁の細道紀行を極めようとする」飯坂温泉④:福島の子規2-33

 言い伝えの中の「十綱橋」には、幾つかのイメージが重なっている。
 最も古いと思われるイメージは、文治5年(1189)佐藤基治が義経追討の鎌倉勢を迎え撃つため、自らの手で橋を切り落としたとされる橋だ。この橋を落とした後、石那坂合戦に赴いたともいわれているという。
 そのイメージは、今の飯坂温泉駅わきの摺上川下の川岸から湯野町橋本館の南にある柳の木の所に十条の藤の綱を張り、そこに横木を結んで、板を渡したものということだ。

 この橋がなくなって以降は、地元でいう「とつなの渡し」になっていた。
十綱の渡し
  飯坂側と湯野側の岸に大杭をうち、それに綱を結んで、手で綱をたぐって舟を動かすという方法で川を渡るものだ。これは、明治の初めまで続けられた。

 次の十綱橋は、明治6年熊坂惣兵衛と盲目の伊達一が寄附金を募って、県に請願して木造の吊り橋を架けたものだという。これが、半年で落ちてしまっている。この橋は「摺上橋」と言われていたらしい。
 更に次の十綱橋が、明治8年県が橋本館の新館の所から斜めに橋を架けることにしたものだ。その費用は地域者の負担であり、地元有力豪農がかかわる。この橋が、宮中吹上御苑の吊り橋を模して十本の鉄線で支えられていたという立派な橋だったということだ。
 この橋は、明治16年に大修繕が加えられ、更に明治24年には、県費の補助も受け、伊達信夫両郡の負担で大修繕が施工された。それにも関らず、漸次橋体が傾き,交通上危険があるので架け換えが計画された。
 この橋は、明治48年8月27日の大出水で落橋してしまう。
 その次が現在の十綱橋ということになる。

 子規が飯坂を訪れているのは、明治26年なので、前代の宮中吹上御苑の吊り橋を模した橋で、2年前に大修繕が加えられた立派な姿だったろうと思われる。完成されたばかりで、見栄えのする橋だったろうと思われる。

 なお、曾良もこの十綱については、八雲御抄夫木集の歌枕であると名勝備忘録に書き留めているという。
 彼が挙げた古歌、「みちのくの とつなの橋に くる綱の 絶やすも人に いひわたるかな」は、千載集による歌で、平安時代に藤づるで編んだ吊り橋がかけられていたという時代の歌のようだ。
 「おのづからくると見しまにみちのくのとつなの橋の中はたえにき」は、現時点では、不明だが、詠まれている事柄からは、やはりこの時代の歌だと思われる。
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テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/10/26(火) 12:04:03|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
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 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
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