飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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「芭蕉翁とずれはじめる」:福島の子規2-40

 子規は、医王寺を抜かしたことを後悔しない。それどころか、桑折から汽車に乗り、伊達の大木戸は夢の間に過ぎたことを得意げに表記する。
 しかし、「武隈の松」は、行きたかったが外したので、実方中将の墓所ばかりは行きたいという思いを記している。地図を使っても笠島へは向かいたかったという。
 子規は、意図的に芭蕉像を操作しているようにも見える。

 先人の芭蕉翁は、この笠島を離れたところから眺めて通り過ぎてしまう。
 実方ゆかりの笠島は、どの辺りなのだろうか。このところ降り続く五月の雨で、道はぬかるんでいる。疲れ切った体では、尋ねていくこともできなかったと記す。

 笠島はいづこさ月のぬかり道

 子規は、疲れた身体なのだが、ここに訪ねて行く。
 田畦数町を隔てて村の山陰に墓所があるのだが、村のわらしに教えられて行ってみる。竹藪の中に柵が回された一坪ばかりの地はあるが、石碑の残骸すら見えない。一本の竹が誤って柵の中に生えて、空をつくほど高く伸びている。その側に西行の歌を刻んだ碑があり、枯野の薄かたみにぞ見ると詠んだのはここなのか。そんな風景と思いを込めて記す。

 ひたすらに哀れに覚えければ我行脚の行末を祈りて
 旅衣ひとへに我を護りたまへ
       君が墓筍のびて二三間

 塚の入口のかなたに囲はれたる薄あり。やう一尺許りに生ひたるもの からかたみの芒とはこれなるべし。
 かたみたに今はなつ野のしのすゝき
       また穗にいてぬ風の色かな


 子規も芭蕉も、読者は教養として、実方と共に西行の次の句の理解を、教養として持っていると思っている。
 朽ちもせぬその名ばかりをとどめ置きて枯れ野のすすき形見にぞ見る(西行)
 <実方の名前ばかりが廃れずに残っているが、今は枯れ野のすすきをその形見に見るばかりだ。>
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テーマ:エッセイ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/11/08(月) 06:36:18|
  2. ○ 福島の子規(ノンフィクション)
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Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

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