飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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夜の長い街にて(その十三)

「日本人のように濃くして飲むのには、砂糖を入れなきゃ駄目だそうだぜ。」
 俺は知ったか振りして言った。
「そうなんだってね。」
 俺の意見には賛成してくれたが、改めるつもりはないらしい。そのまま飲んでいた。俺は苦いコーヒーをやせ我慢しながらおいしそうに飲んだ。
「何か、学校であった。」
 俺は何もなかったとは思ったが、洋一とも和夫とも話をしていないので、とりあえず聞いてみた。
「別に何もなかったわよ。」
と予想した返事が返ってきた。
「ただ、学校の東校舎のボヤの後始末で、昨日まで大変だったわよ。」
 彼女が付け加えた。それで和夫も洋一もいなかったのだと納得した。
「あれっ。火事騒ぎがあったの。」
「知らなかったの。あんなに騒いだじゃない。」
「知らないね。ずっと寝ていたんだもの。啓子さんが俺の部屋に来る前、それとも後。」
「ええっと、後よ。そう確か……、次の日よ。」
「へえっ。全然知らなかったな。見たかったな。分かれば見に行ったのに、残念だったな。きれいだった。」
 俺が何気なく聞いたら、彼女もコーヒーを畷りながら自然に答えた。
「きれいだったわよ。火の粉がパーッと飛んで、それが空まで届いてもまだ消えないの。そんな感じがして、とてもよかったわよ。」
 俺も見たかったと思った。たとえ、眠りの実験が一時中断しようとも、それは充分見るに値したかもしれないと思った。
「ここしばらく毎日会議室の灯がついていたわよ。」
 それにしても、校内は落ち着いているように思えた。それは、後始末が済んだせいもあるのだろう。ボヤ程度だったせいもあるだろうし、それに、正面から見れば陰の校舎のせいになっていることもあるのだろうと思う。
「やっと今日よ、落ち着いたのは。みんな大変だ、大変だって騒いでいたわ。」
 彼女がカップを置いて言った。
「だけど、花火を上げたと思いや安いもんじゃない。美しさは花火より数段上だろうし。規模が違う。美しさに比べりゃあっ、格安さあっ。」
 間をおかず俺が受けた。すると、彼女も直ぐに応じた。
「そうよね 私も、みんなには悪いんだけどそう思うのよ。」

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/05/07(木) 11:09:39|
  2. ○ 夜の長い街にて(フィクション) 
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親馬シン

Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

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