飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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夜の長い街にて(その十七)

 突然、今日は突然が多いのだが、また突然なのだが、彼女が言い出したのだ。
「ねえ、私のボーイフレンド、紹介するね。私のフィアンセよ。大した男じゃないんだけど……。本当につまらない男なんだけど会ってよ。ねえ、会ってくれるわよね。」
 彼女は立ら上がろうとした。それを俺は押さえた。
「何処へ行くんだよ。ちょっと落ち着けよ。」
 肩を押さえながら言った。彼女は俺の顔を睨んでいた。
「どうして、そう平然とした顔でいられるの。私を駄目な女だと思っているんでしよう。ううん、きっとそうだわ。そうに決まってる。」
「そんな事はないよ。あるわけがないじゃないか。」
 彼女は酔っているんだ。そう思って、俺はその場をつくろって言った。
 彼女は居直ったように、
「じゃあ、行きましょう。行ってくれるわね。いいでしょうっ。」
と言い続けて、止めそうもない気配だ。
 俺は仕方なくうなずいた。すると、彼女は表情を少し緩めた。
「今ね、ラーメン屋にいるのよ。客じゃないわよ。アルバイトなの。わかった。行きましょう。」
 彼女はせかせかとそう言うと立ち上がった。俺も彼女に従って立ち上がった。が、そこまでだった。そこまでが俺の限界だった。足が伸びなかったのだ。勢いだけが勝って、俺は上半身からのめり込んでしまっていた。俺は無意識的に彼女の肩に必死に摑まっていた。
 意識だけははっきりしているのだが、足が思うように動かなかった。やっとのことで床を嘗めることだけは避けることができた。
 バーテンや他の客の視線を俺は一勢に感じた。俺は全意識を足に集中させ、慎重に立っていた。彼女の小さな肩に力を加えると、彼女は俺の胴に手を回して支えてくれた。彼女の支えでどうにか歩くことができた。嘔吐感が俺を襲った。俺は外に出て思い切り吐き出したかった。それでも、俺の意識はまだ余裕があった。彼女に金を渡したのだ。ポケットから一万円札を取り出すと、彼女の手の平に押しっけた。彼女が何か言ったが、それを聞いている時間はない。
 俺はドアに手を掛けた。よろける足を引きづって、ドアを開けた。手を放すと足がよろけた。そして、ドアが少しずつ閉まっていった。
 俺は六歩放れた電柱にしがみつくことができた。しがみつくと同時に耐えられぬ嘔吐感が一気に訪れた。口から液体が音をたてて流れ出した。連続的に訪れる吐き気で、口から流れ出る液体を止めることはでさなかった。途切れたと思うと直ぐに吐き気がまたやって来るのだ。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/05/11(月) 09:55:20|
  2. ○ 夜の長い街にて(フィクション) 
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親馬シン

Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

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