飛翔

作品原案として書き連ねています。 書きかけで試行状態ですが、踏ん切りをつけるために、一度手を離すことを目的としています。

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夜の長い街にて(その二)

 起きる気が無いと実に良く眠れるものである。現実の音を聞き分け完全に眼を開いたのは、もう午前十一時を過ぎていた。腹這いになって煙草に火をつけた。寝起きの煙草はいがらっぽさが少ない。コーヒーを飲みたいのだが起き上がるのが面倒であった。俺は仰向けに寝直して煙草を吸った。尿意を感じているが蒲団のぬくもりから離れたくない。起さ上がってしまえば、どうという事もないのだけれども、それまでが、実におっくうである。立らあがって放出しまった方が楽なのはわかっているのだけれども、そこには小さな決心が伴う。余り決心とは感じないのが普通なのだろうが、俺はこの接点も意識するのだ。
 俺は小さな決心をしない為に、今まで大分損をしてきた。小さな決心さえすれば自分の思う通りになる時でも、そう出来ないことが多かった。今までの状態から少しでもずれる事に俺は面倒を感じるのだった。恐怖を感じる訳でもない。
 かえってそうなった方が良い事が完全にわかり切っている時でも、なかなか決心が出来ない。俺は生来保守的なのかも知れない。

 いつの頃だったか、祭りの時を思い出す。権は屋台店で売っていたピストルが欲しかった。しかし俺の頭の中では、いつだったか親父とおふくろが、子供にピストルを与えるのは危ないというような事を話し合っていたのを思っていた。そして、隣の正美がピストルのカンを十個ほど入れて走っていたら、物凄い音と共に悲鳴が上がり、青い煙がポケットから沸いていたことを思っていた。俺は屋台店のピストルの前でじっと考えていた。親父が隣から声を掛けた。
「欲しいのか。買ってやるぞ。」
 俺は欲しかった。だが俺はすかさず返事した。
「チェッ、ピストルなんか欲しかないや。」
 でも、親父はそれ以上は開かずに、屋台のおやじに金を浸した。そして、ピストルを受け取ると、黙って俺によこした。俺は親父の顔を少しの間見ていた。知らぬ間に俺の手は親父から手わたされたピストルを握っていた。
 うれしかった。
 俺の態度はそれからも変わってはいない。ピストルの時の延長上にある。小さな決心に人一倍こだわったり、欲しいけど、欲しくないといった態度をとったりすることは少しも変わっていないのだ。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/04/19(日) 08:35:00|
  2. ○ 夜の長い街にて(フィクション) 
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親馬シン

Author:親馬シン
 原点であるフィクション「夜の長い街にて」を整理していく中で、自分が求めていたものの輪郭が明らかになると思っていた。
 しかし、実際にはそうはならなかった。

 今は、知りたいことを追い求め、何も考えずに書きとめるだけだ。それでも充分満足している自分を感じている。

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